【研究内容の紹介】
椎骨数に関与するQTLの解析とその責任遺伝子の単離
椎骨数関連遺伝子研究班
研究班リーダー:美川 智
肉量や肉質などは、ブタにおいて経済的に重要な形質です。これらの関与する遺伝子のゲノム上の位置を明らかにし、望ましい性質を持つブタ品種を効率的に育成することが可能となります。椎骨数は肉量に影響を与える形質のひとつと考えられ、当グループではその責任遺伝子の同定を目指しています。
- オスゲッチンゲンミニ豚とメス梅山豚を用いて、3世代にわたる実験家系を作出しました。(図1)
- この実験家系を用いて、マイクロサテライトマーカーを中心としたDNAマーカーの連鎖地図を作製しました。(文献1)。
- F2個体の様々な形質とDNAマーカーとの連鎖解析により、多くのQTL(量的形質を支配する遺伝子座)候補を検出しました。(文献2)
- 第1染色体に検出された椎骨数に関与するQTLは他のブタ実験家系においても検出され、西洋品種のアリルに椎骨数を増やす相加的効果が認められました。
- 他のブタ実験家系において第7染色体に2つ目の椎骨数に関与するQTLが検出され、西洋品種のアリルに椎骨数を増やす相加的効果が認められました(図2)。
- 現在、QTLが検出された領域に、さらにマイクロサテライトマーカーを開発し、詳細なQTLのマッピングを行っています(図3)。
- さらに、QTLが検出された領域において、候補と考えられるいくつかの遺伝子の構造・多型解析と、QTL領域のゲノム構造の解析と多型検出を行っています。
文献
(1) Animal Genetics (1999) 30, 407-417
(2) Animal Genetics (2000) 31, 376-384
図1 椎骨数のQTLが検出された染色体領域(赤丸の部分・図をクリックすると拡大図が見られます)
図2 2つのQTLと椎骨数の関係。M:アジア品種型、L:西洋品種型
図3 第1染色体q腕上に開発した新規マイクロサテライトマーカー(図をクリックすると拡大図が見られます)