【研究内容の紹介】
研究班リーダー:奥村 直彦
黒豚(バークシャー種)の肉は繊維が細く、食味が良いと言われ、市場では他の品種のものより高値で取り引きされています。ところが近年、交雑種や白色種等黒豚と異なる豚由来の肉を黒豚として販売する例が目立ち、食肉段階での品種確定手段が求められていました。豚の品種間では、毛色が白、黒、茶と異なり、白黒等の毛色パターンも異なることから、毛色あるいはそのパターンに関連するとされる遺伝子のDNA配列を解析し、DNA多型情報(配列の違い)による品種鑑別を可能にしました。ハム、ソーセージ、ベーコン等の加工肉においてもDNAは破壊されておらず、様々な品種由来の豚肉を識別することが可能です。
さらに、バークシャー種のいわゆる「六白」、鼻先、尾、四肢の先が白いという毛色パターンを決めている因子は未だ明らかとはなっていません。今後、種々の毛色関連遺伝子について、そのクローニングと各部位(脚、
鼻先、尾)での発現を解析していく予定です。また、品種間での毛色関連遺伝子でのSNPs(DNAの1塩基の違い)分布を調査する予定です。
文献
(1) ブタ品種間に認められるMC1R遺伝子およびKIT遺伝子の多型
奥村直彦、小林栄治、鈴木秀昭、両角岳哉、濱島紀之、三橋忠由
日本畜産学会報 第71巻 第8号:J222-J234、平成12年4月
(2) ブタの毛色と毛色関連遺伝子
奥村直彦、三橋忠由
日本畜産学会報 第72巻 第10号:J524-J535、平成13年10月